点Nの軌跡

競プロの話または日記

点Nの編入体験記-豊橋技術科学大学

2020年6月にあった、令和3年度入学者選抜編入試験の話。

点Nについて

高専生。電気と情報の学科。個人的な感覚だと授業内容は電気寄りだけど、情報のほうが好き。席次は4年間クラス1位。中学校の校内模試も1位だった*1。自分自身あんまりこの数字を信頼しておらず、定期試験で点を取るのがうまいだけだと思っている*2。試験には関係ないが、TOEICの最高は685で、当時のAtCoderのレートは水色。この頃は絶賛オンライン授業中。本命は別の大学だったけど、落ちた時に専攻科に行きたくなかったので*3情報・知能工学課程を一般受験。

豊橋技術科学大学について

愛知県豊橋市にある工学系の大学。豊橋技科大。似たようなのに新潟の長岡技科大がある。どっちも高専を卒業した人がよくいく。本命じゃなくてもとりあえず受ける人が多いイメージがある。過去問は解答付きでHPに2年分掲載されている。多くの大学が過去問の解答を公開しないのを考えると、非常に親切。

勉強したこと

まず、絶対に参考にしてはいけないが、編入の勉強を始めたときには4年生の夏休みなんてのはとっくに終わっていた。本格的に勉強に手を付けたのは春休みから。TOEICはその前から定期的に受けていたけど、これも特別な勉強はしていない*4。以下に書いてあることはすべてそれ以降の話。でも間に合わせた。間に合ったのは低学年のころからちゃんと勉強について行っていたから*5なので、そうでないなら(そうでなくても!!!)早いうちから勉強するべき。

豊橋技科大の受験科目は、一般科目が英語・国語。専門科目として応用数学*6・志望課程別専門科目。志望課程別とはいっても、情報知能工学は面接以外なら5種類ある筆記試験のうち何をとってもいい*7。出願時点で選択する必要があり、圧倒的に得意な情報を選択した。なお、この時点で併願可能なのは機械系に絞られるので、ほぼ自動的に専願。

数学

とりあえずこれ。編入界隈では有名なやつ。編入数学御三家みたいなのの一角。たまたまこいつだけ街のでかい本屋に置いてあったのでこれ。どこを受けてもいいように1周したし、志望校で出がちな範囲はもう1周した。豊橋の受験の前は確実に出るであろう確率の範囲をもう1周した。受験のときも持って行って重要な公式の確認に使った。

過去問は学校にあるやつ含めて7年分ぐらいやった。

英語

過去問を2年分やった。試験直前ぐらいにざっと見たのは学校で使ってたこの辺。上のは分厚いので家で軽く読んだ。下のはリュックに詰めて持って行って新幹線で読んだ。

総合英語Forest 7th Edition

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  • 発売日: 2013/12/01
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総合英語Forest(7th Edition)解いてトレーニング

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あとは直前の夜にこういうのを見た。

https://www.oit.ac.jp/japanese/toshokan/tosho/kiyou/jinshahen/55-1/04.pdf

Duoとかも持ってたけど、半分もつかってない。

国語

漢字も慣用句もそこまで苦手じゃないし古文出ないし*8まあ適当でええやろと思い、学校で使ってた教科書そのまま。持って行って前日に苦手なところだけ確認した。下のほうこれであってるか微妙だけど多分これ。過去問は2年分の慣用句をチラ見した程度。教科書だけでカバーしきれてないな、若干むずいなと思った。

テスト式国語常識の総演習

テスト式国語常識の総演習

基礎からの国語表現の実践

基礎からの国語表現の実践

専門

論理回路とか疑似コードのプログラミングがよく出るので学校で使ったこの辺の教科書を持って行った。論理回路の本は前日に読んだがC言語の本のほうはそんなに見てない。AtCoderしてるしアルゴリズム系は大丈夫やろと思ったなどと供述。過去問は2年分解いた。

論理回路入門(第3版)

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願書提出まで

世の中が新型コロナウイルスの話題ばっかりで嫌になってきた頃。大学の編入試験もこのせいで結構スケジュールが狂っていた*9豊橋はいちおう受験するつもりではあったので早いうちに募集要項を見ておいたのだが、調査書とか成績証明書とかまあその辺の書類*10が必要らしく、いつか先生にお願いしないとなぁと思っていた。で、ある日たまたま学校用のメールボックスを開いたら(当時はあまり開かなかった)、担任からのメールが入っていた。意訳するとこんな感じ。

豊橋の調査書の取りまとめが今日まで。調査書に書かれるのはだいたいこういう感じの内容になるけど事実誤認はない?」

いやいやいやいや待て待て待て待ておいおいおいおい。今日かよ*11。でも豊橋の話一回も出してないのに本人の知らないところで調査書が作成されている。なんだこれ。

豊橋技科大の受験区分は(多くの学校がそうであるように)推薦と一般があって*12、推薦の書類をまとめて受け取るタイミングで一般の書類もまとめて受け取ってくれるので、推薦のスケジュールで学校が動いていたのだと思う。で、どうして調査書が作成されているのかわからないままでは気持ちが悪いので、返答する前に他のメールもざっと目を通すことにしたのだが、この日の5日前にこういうメールが。

「本命違うのは知ってるけど豊橋受けとけば?これ募集要項ね、読んで準備しときなよ」(意訳)。

あーまじかこいつは大変だ。先生ありがとうございます。急いで内容を読んで自信の経歴と明らかに異なる点だけ指摘して(有利にも不利にもならない修正)、返信遅くてごめんなさい言ってませんでしたが受験するのでよろしくお願いしますと付け加えて返信した。まあなんかうまいことなったんじゃないかと思う。今日までが明日になっちゃったけど。適当に書類をそろえて提出。

出願に関して特に記すべきことはないが、強いて言うならばプリントアウトした宛名用紙の「行」を消して「御中」に変えるなどした*13

ちなみに、この時まで豊橋技科大を受験するクラスメイトの話を一切聞かなかった。自分の他に何人かいてもおかしくないのに。

前日移動

6/26(金)。研究室*14に1限だけ顔を出してから移動した。途中、コンビニ*15に寄って担任に「受けてみ」と言われたG検定の料金の払い込みをした*16。ちなみにG検定は受かった。あと新幹線で食べるためのおにぎりとお茶も買った。点Nはコンビニのおにぎりが好物。

旅程は代理店に丸投げ。新幹線は指定席に座ったけど、正直自由席でも問題ないぐらいに空いてた。名古屋止まりではないので行き過ぎてしまわないように気を付けたけど途中結構寝た。名古屋で新幹線を乗り換えて、豊橋まで乗った。

豊橋駅は思っていたより大きい駅だった。夕方だったので学生が目についた。知らない土地の学生眺めるの、すごい好き。ホテルは駅直結のホテルアソシア豊橋。すぐそこなので直接行ってもよかったけど、ちょっと周辺を散策してからホテルに向かった。

ホテルは構造がちょっと難しくて、ホテルが駅にぶっ刺さっていて、かつ駅の2階のコンビニ*17がホテルに食い込んだような形になっている。フロントで水とキットカットを3つもらった。お酒の入ってるやつで、受験前なので控えておこうと思いホテルの冷蔵庫に入れておいた*18。エレベーターの中で偶然乗り合わせた従業員の女の人に、受験ですか?と聞かれた。はいと答えたら、頑張ってくださいねと言われた。例年この時期は予約が増えるのか、どうやら受験にきた高専生だと一目で見抜かれたようだ。暑かったので部屋に着いた瞬間の汗がすごかった。とりあえず移動中に参加できなかったオンラインホームルームの録画を倍速で見た。

ホテルのベッドで慣用句を適当にググるなどして勉強した。上で紹介した英語のpdfも見た。数学の本も問題は解かなかったけどパラパラ見た。論理回路の本も見た。フリップフロップとかが出たら死にそうだなぁと思いちょっとだけ読んで最低限頭に入れたつもりになったが、これは翌朝になったらまあまあ抜け落ちていた。

夕飯は2階にめり込んでいるコンビニで買った。基本的にはあたたかいものを買う。今回はナポリタンか何かを買った。あとデザートにコーヒーゼリーも買った(恒例の点Nのおやつ)。朝のおにぎりも買った。昼のおにぎりは翌朝買ったような気がする。

ホテルはふつうに過ごしやすかった。めっちゃ「豊橋 編入」でツイッターで検索した。豊橋と東大*19を受ける人がいてビビった。旧帝大とかの滑り止めにしている人の存在は恐ろしい。VTuberの切り抜き動画も見た。よくあるご自由にお持ち帰ってよいスリッパの使い方はいつになってもわからない。朝が早いのでその日のうちにホテルのパジャマに身を包んで寝た気がするが、なにせ3か月も前のことなのでよく憶えていない。ホテル備え付けの時計のアラームに加え、スマホのアラームを何重にもセットした。

試験当日の朝

日付変わって6/27(土)*20。昨夜アラームをたくさんセットして寝たが、受験の前日なんて状況でぐっすり眠れるほど精神が強くないので一発目で起きた。

技科大までは豊橋駅からかなり距離があるのでバス移動。割と早めに動いたつもりなのだが既にバス停に行列ができていた。臨時便が出ていたけどバス内はだいぶ混雑していた。片道450円はけっこう高い。景色を見たりはせず、大学からのメールや高専からのメールのチェックをした(あの日以来頻繁にメールをチェックするようになった)。

技科大に着いてしばらくすると開場。教室に向かったが、教室の命名規則がよくわかっていなかったり違う教室の人について行ったり方向感覚が狂ったりして、最初全然違うところに行っていた。コロナのせいで教室数多くなってるのかなーとか思った。正しい教室に入ったが、時間が早く人がほとんどいなかった。コロナ対策だと思うが、多くの机にテープでバツ印が付いていた。労力ヤバそう。

試験

9時開始。インターバルは30分で昼休みは1時間。午前中に英語と国語、午後に数学と専門。

基本的に自己採点をしない主義なので問題用紙に解答をメモしたりはしていない。よって、手元に自分の解答がない。成績開示もしないので、実際の出来は闇の中。

英語

90分ある。150点満点でウェイトが重いので最初から結構大事な科目である。形式は毎年固定で、長文があって短文穴埋めが2つあって並び替えがあってリスニング。これだけマークシート。公開されている過去問がそうなので覚悟していたが、フォントが等幅のやつで長文がめちゃくちゃ読みづらかった。わかるところを埋めて、わからないところはなんとなくで埋めた。リスニングは開始1時間後に始まるのだが、長文をこれでもかと熟読したのに時間がめちゃくちゃ余った。リスニングの声が低くて若干聞き取りづらかった。それに関係なく最初の問題は聞き落とした。公開されている過去問を見た限りではこの大学のリスニングは数字を聞き取らせるのが好きな気がしていたが、予想通り出た。リスニングの後も時間が余った。時間は余ったが、自信をもって埋めたのは半分よりやや多いぐらい。正直手ごたえはそんなになかったので、ここから頑張って挽回しようと思った。

国語

60分。100点満点。長文が2つと漢字と慣用句。形式は若干不安定で、長文が1つだった時代があったみたいな話をどこかで聞いた気がするがよく知らない。この年は記述式の問題もなかったし、文学史的な問題も出なかった。漢字と慣用句をササっと埋めて(こういうのを埋める速度には自信がある)、残りは長文に集中した。英語とはうってかわって時間との勝負だったが、とりあえず全問ある程度考えて埋めた。正直、国語では受験者にどれぐらいの差がついているのか全然読めない。

数学

60分で100点満点。前から順に線形・微積・確率。ほとんどが基礎的な内容を問う問題で、落ち着いて解けば決して難しくはない問題。のはずが、この年の確率がだいぶ微積に寄った内容になっていて驚いた。確率はもはやおまけ程度でしかなかった。線形は序盤のミスが後に響くタイプだったので急ぎつつも慎重に解答した。後に飛ばした線形の最後の問題は最後まで解法がわからなかったが、勘で数字をはめたら合っていそうだったので答えだけポンと書いた。微積は割と基本に忠実なセットで、思いつくミスは最後の積分の領域を間違えたぐらい。部分点は入ってると信じてる。確率(微積)は3つの積分の結果を使って確率を計算するタイプの問題だった。わからない積分がひとつあったが、実は一番簡単な積分さえできていれば前に進める設計になっていたので助かった。わからない積分は白紙で解答したのでこれは間違いなく点がない。

専門

90分で150点満点。論理回路の問題の解答ミスに見直しで気づけた点はよかった。あとは特にいうことがない。簡単だった。自己評価が低い点Nがいうのだから相当である。プログラミングはAtCoderしてたし大丈夫だった(伏線回収)。正直満点の自信がある。時間もだいぶ余った。でも簡単すぎて差が付かないのではという不安があった。英語とか数学のミスを挽回したかったのに、全員いい点を取れていそうで挽回できてないような気がした。不安になった。

試験後

結局、試験会場で知り合いと遭遇することはなかった。9時に始まった試験だが、試験終了は16時。1日で済むとはいえ長い戦いだった。帰りのバスも混んでいた。専門の問題の話をしているやつがいて、ちょっとイラついた。公共の場で答え合わせをするな。でもそいつの答え間違ってたしまあいいや。行きの時とは違い、結果を心配しながら景色を眺めていた。

余裕あるスケジュールにしたせいか、新幹線まで時間がめちゃくちゃに余ったので豊橋駅のまわりを探索した。アニメイトがあったけどその時期見てるアニメがなかったし、恰好がリュックだったので入らなかった(?)。ガチャガチャのラインナップを眺めたりもした。

駅弁は豊橋で買ったが、乗り換えて名古屋から乗った新幹線内で食べた。行きはお腹をこわすとまずいので食べなかったが、恒例のシンカンセンスゴクカタイアイスも買った。バニラ味を食べた。帰りが遅くなったし疲れたので、AtCoderのコンテストには出なかった。

結果

認識が間違っていなければ、例年、情報知能は他の学科より倍率が高い。ブレるものの、高い年で3倍強とかだった気がする。自信がなくて公開されてからしばらくは合格者番号ページを開けなかった(精神的に)。でもちゃんと合格していた。自分の前後の番号が全然なかったので、自分の前後にいたやつらはほとんど落ちていったんだなぁと思った。募集人数ちょうどしか受かってなかったように思うけど、何で?

後日、大学編入志望の友人ら数人に「豊橋受けた?」と聞いてみたのだが、申込期間が過ぎたとかなんとかで見事に全員受けていなかったらしい。何で?

*1:自慢ではなく、そういった基礎を固めた人間だと示すための記述

*2:なんならクラスに東大行ったやついるし。それは敵わん

*3:情報方面をもっと濃いめにやりたい

*4:685点ないなら参考にしてはいけない。それ以上ある人は素晴らしいです。靴を舐めさせてください

*5:我首席ぞ?

*6:例年微積と線形と確率/組合せ。なんか知らんけど専門科目扱い。ちなみにうちの学校の「応用数学」はフーリエ変換とかラプラス変換とかその辺の領域。こういうあいまいな言葉は注意しておかないと痛い目を見る

*7:単願の場合の話で、併願するなら話は別

*8:長岡は出るはず

*9:豊橋技科大の編入スケジュールは結局一切狂わなかったが

*10:発行には1週間かかる

*11:しかももう夕方。

*12:本当は異様に区分が細かい

*13:合否には関係ない。

*14:オンライン

*15:ファミマ

*16:学生料金+コロナの影響で安くなっていた

*17:ファミマ

*18:受験が終わってから持ち帰り、3か月たった今も我が家の冷蔵庫にあるのだが大丈夫だろうか

*19:オンラインとはいえ、試験日は豊橋の翌日である!

*20:友人の誕生日だったのだが、祝っているような心の余裕はなかった